共働き夫婦がセックスレスに陥らないために

1.はじめに

「今日は夕飯一緒に食べられる?」

「ごめん。取引先に行ってそのまま食べてくることになりそう。先に食べてて。」

 

玄関先での朝の会話。事務的に言い残して夫は私より30分早く家を出ていく。

明日はお互いお休みだというのに、今夜も別々ね…

これはとある共働き夫婦の朝の一幕です。どんなふうにご覧になったでしょうか。

 

今や共働き世帯は約6割を占める時代。

一説によると、共働き世帯はセックスレスになりがちともいわれています。

 

そもそも、2人で幸せな家庭を築いていくために、共働きという選択をしたはず。

それなのに、それが夫婦のすれ違いやセックスレスの原因になってしまうのは

悲しいですよね。

 

共働き夫婦がセックスレスに陥らないためにはどうしたらよいのか。

最後には解決法もいくつか紹介しています。

 

こちらの記事が幸せな2人の未来を築いていただく一助となれば嬉しいです。

 

2.共働き夫婦のセックスレス事情

一般的に共働き夫婦はセックスレスに陥りやすい。

そう聞いても、自分の身に降りかかると慰めには聞こえないものです。

 

共働きの夫婦は周りにもたくさんいるけれど、本当にみなセックスレスなのだろうか。

私たち夫婦だけなのではないだろうか。

 

もちろん友人に聞いて確かめることも出来ないし、もやもやは募るばかり。

 

そんなあなたのもやもやを解消するために、この章では、共働き夫婦の

セックスレス事情について迫ってみます。

 

2-1 共働き夫婦|セックスレスの原因

共働き夫婦のセックスレス事情…

ある調査によれば、共働き夫婦の半数以上が月に1回あるかないかの頻度とのこと。

そこには共働きならではの理由があるのでしょうか。

 

すぐに思いつくのは、「お互い忙しい」「時間がない」「生活時間のすれ違い」など。

中には、お互いの仕事のペースを大事にするために寝室が別という夫婦もいるようです。

 

それなら仕方ないかな、と納得してしまいそうですが、

セックスレスで悩む共働き夫婦の事情はそう単純なものでもなさそうです。

ネットの声を拾って、いくつかにまとめてみました。

 

①生活時間のすれちがい

 「私は夜勤もあって、生活時間がずれているんですよね。妻もシフト勤務なので

  休日も別々ですし。セックスしたいと思ってもなかなかタイミングが合いません。」

 お互い仕事のペースがあるため、生活時間がずれやすいというのは想像できますね。

 職種によっては、勤務開始時間が大幅にずれたり、休日が合わないということも

 あるでしょう。必然的にセックスのタイミングを逃してしまう要因になります。

 

②疲れていてセックスをする気になれない

「夫も私も帰りが遅く、夕飯もそれぞれ外食なんてことも多いんです。

 平日はとてもじゃないけど、そんな気分になれません。」

「セックスをしないと決めているわけではないんです。でも仕事が忙しかったり

 時には持ち帰って家で仕事の続きをしなければいけなかったり‥。

 正直疲労困憊で『セックスするより寝たい』というのが本音ですね。」

 

③仕事が波に乗っていて妊娠を控えたい心理

 「まだ新婚間もないのですが、仕事もちょうど面白くなってきたところです。

  チーフを任されたばかりで、ここ数年は頑張り時。ここで妊娠して出産育児で

  キャリアを中断するわけにはいかないんですよね。妊娠しちゃいけないと思うと

  なんとなくセックスの行為そのものが遠のきます。」

若い夫婦に限定されますが、

「仕事を頑張りたいので、まだしばらくは子供は作らない」 という話はよく聞きます。

新婚の時期と、重要な仕事を任されてくる時期が、ちょうど重なるんでしょうね。

 

相手やセックスに対してマイナスな要素があるわけではなくても、妊娠を避けようとする

心理から、行為そのものから遠のいてしまうということもあるのかもしれません。

 

④お互いにストレスを感じている

「お互い、ストレスフルなんですよね。

 仕事もそれなりに責任が与えられていますし、家事も一応分担していますが、

 それぞれ仕事との両立に苦戦しています。セックスというムードには程遠いんです。」

 

⑤相手に対して不満がある

「共働きなのに、家事や育児をするのは常に私。こっちが下手に出てお願いしても

 嫌な顔をされ、日々不公平だな、ずるいなという気持ちが蓄積されているわけです。

 ゴミ出しや、オムツを替えたくらいで『どや顔』された日には、殺意さえ感じますね(笑)。セックスどころか、夫に優しくしたり、いたわる気持ちにすらなれません。」

 

「家事や子育てで疲れているんだか知りませんが、ピリピリしてるんですよね。

 ちょっと触れただけでもあからさまに嫌な顔をされるし。

 妻を誘いたい気持ちはありますが、怖くてできません。」

意外とよく見られるのが、セックスレス以前の相手に対する不満。特に家事や育児の分担

について「不平等」と感じ、相手に不満を抱いている例が多そうです。

 

また、忙しくて事務的な連絡になりがちだったり、相手に対する不満の感情をぶつけて

しまうことで、まともに話もできないといったコミュニケーション面の不満

に発展するケースもみられます。

 

セックスも夫婦のコミュニケーションの形。

不満がある状態ではその気になれないのもうなずけますよね。   

 

⑥妻を女として見れなくなった

「人の事は言えないのですが、妻を女性としてみれなくなってしまったんですよね。

 昔は華奢な雰囲気に惹かれたのですが、今や太る一方。

 疲れているのでしょうが、体型も気にせず、いびきをかいて寝ている姿を見ると

 悲しくなります。」

 

「女というより、母になってしまったんですよね。出産・育児と頑張ってくれて

 心から感謝の気持ちはありますが、お風呂で裸のまま立ち上がり子供の受け渡しを

 されたりするとね…。せめて恥じらいは持っていてほしいなと思ってしまいます。」

これは、妻側から反論が出そうですが、悲しいかな、けっこう聞かれる意見です。

特に、出産を機に妻を女として見られなくなったという回答が多くみられるようですね。

 

「仕事をして、家事もして、子育てもして…それどころじゃないことをわかってほしい!」

「こっちだって、夫の変貌ぶりには幻滅しているわ!昔はカッコよかったのに。」

 

言い分はあるのでしょうが、それがセックスレスの一因になっているのであれば、

こういう意見を謙虚に受け止め、少しは女の部分を意識してみるのも良いのかも

しれません。

 

3.共働き夫婦|セックスレスに至る前のすれ違いは?

ここまで、共働き夫婦のセックスレス事情をみてきました。

セックスレスに至るには、共働きならではの事情があることも分かりましたね。

 

でも、同じように共働きでも、セックスレスにならずに幸せな時間を過ごせている

夫婦がいるのも事実。その差はどこから来るのでしょうか。

 

ここでは、数多く挙げられたセックスレスに至る共働き夫婦ならではの事情のうち、

工夫次第で改善できるのでは?と思われる相手への不満に焦点をあて、

夫婦それぞれの本音をみながら考えて見たいと思います。

 

3-1夫婦それぞれの本音 ~家事編~

相手への不満や怒りがある状態では、なかなかセックスという雰囲気には

なりにくいのも事実。セックスレスを悩む前に、不満を解消しておきたいものです。

 

ここでは、前項で触れた「相手への不満」の中でも、大きそうな「家事の分担への不満」

について、実際の声を見てみましょう。

 

【妻の本音】

 「家事をやっているのは私。ついイライラしていると『手伝おうか?』と声をかけて

  くれるのですが、そもそも、『手伝う』と言っている時点で違うんですよね。」

 

「一応家事分担はしていますけど、それをやっただけでやった気になっているのを

 見ると、ついイラっと来ますね。脱ぎっぱなしの衣類、片付けそびれたおもちゃ

 など拾って始末するのはすべて私。

 家族の誰もやらない家事が全て私に回ってきます。」

 

「家事をやってくれるのはいいのですが、やり方が雑なんですよね。

 何度か注意もしましたが、機嫌を悪くするし、やらなくなっても困るので

 我慢しています。」

 

妻側の意見で、圧倒的に多いのは「もっとやってもらわないと困る」という意見。

「やった気になっている」「言わないとやってくれない」と言った声も目立ちます。

妻側の不満をまとめると、①言わないとやってくれない、②家事分担の認識に

ずれがある、③こだわりポイントのずれと言ったところでしょうか。 

  

次に夫側の言い分をみてみましょう。

  

 

【夫の本音】

「言い争うのが嫌なのであらかじめ分担を決めているんです。

 それなのにイライラされるんですよね。

 こちらも疲れてますし、勘弁してほしいです。」

 

 「やる気がないわけではないんですよ。でも、ちょっと気を利かせてやっておくと

  やれ干し方が違う、食器のしまう場所が違う、といちいちダメ出しされます。

  手を出さないほうがお互いに良いんじゃないかと手を引いてますよ。」

 

「『〇〇やっといて』とざっくり頼まれることがあるのですが、

 何をどうしたらいいかわからないんです。適当に済ませると怒られるし…」 

夫側の不満をまとめると、①こっちも疲れてる、②ダメだしされる、

③どうしたらよいかわからないと言ったところでしょうか。

やる気はあるのに…というもどかしさが見えますね。

 

妻側、夫側の本音を覗いてみました。

主張の段階で、妻側が優勢、夫側が引き気味という印象がありますね。

 

2017年に大和ハウス工業が共働き夫婦の家事負担の割合について行った調査では、

妻の認識では、回答者のうち37.3%が「夫1割:妻9割」と回答したのに対し、

夫の回答1位は「夫3割:妻7割」(27.0%)でした。

 

妻側、夫側ともに妻の方が負担が大きいと認識している点では一致していますが、

その割合については「夫1割、3割」と開きがあることがわかります。

この「ズレ」が、いらだちを生み、不満を生むのだと考えられそうです。

 

家事の問題だけにとどまればよいですが、これをきっかけに、相手への不満、

不信、ひいてはコミュニケーションの悪化へ…と連鎖していくと自体は深刻ですね。

 

そうなる前の小さな「ずれ」のうちに、解消しておきたいものです。

 

3-2.日本の文化にもよる|あなたが悪いわけじゃない

家事に関する「ずれ」について見てきましたが、

一概にどちらのせいとも言えない部分もあるかもしれません。

 

今でこそ、6割の家庭が共働きとのことですが、共働き世帯の割合が、

専業主婦を妻に持つ家庭を上回ったのは平成11年以降のことです。

(厚生労働省資料より)

 

それまでは、「夫が外で働き、妻は家を守る」というスタイルが、

日本の夫婦の典型だったわけです。

 

その常識の中で育ってきた2人が夫婦になっているのですから、

スタートの時点で家事負担は「妻」なんですよね。

 

「家事をしない夫が悪い」と一方的に責めるのではなく、

一度「日本の文化のせい」にしてみると、気持ちが楽になるのかもしれません。

 

そのうえで、日本の文化だとか、周りの夫婦の常識などにとらわれず、

自分たち夫婦にとってどんな形が最適なのか、ゼロから考えられると良いですね。

 

その歩み寄りの姿勢、話し合いの形こそが、

良い夫婦関係を構築していく第一歩になるのではないでしょうか。

 

4.セックスレス夫婦にならないために

それでは、最後に、共働きでもセックスレス夫婦にならないためにどうしたらよいか、

考えられる案を列挙してみました。

 

①家事をみえる化して分担する

 

②疲れている時は無理しない(家事も手抜き)

 

③意識的にコミュニケーションをとる時間を作る

 朝食時、夕食時、通勤時、寝る前の10分など

 

④休日に予定を積め過ぎない

 

⑤意識的に、2人の時間を作る

 

⑥セックスへのこだわりを捨てる

 ・短時間でも良しとする。

 ・夜じゃなくて朝という手も!

 ・挿入にこだわらない。スキンシップを優先する。 

 

⑦普段の生活でさらけ出しすぎない

 

いかがでしょうか。取り入れられそうなものはありましたか?

 

色々思い悩んで足踏みするよりも、思いつく方法を端から試してみることも

セックスレスから抜け出す第一歩になるかもしれませんね。

 

5.おわりに

共働き夫婦のセックスレス事情についてみてきました。

お互い仕事のストレスもあり、忙しい日々を送っていると

どうしても心の余裕をすり減らしてしまいがちです。

 

一番身近な存在だからこそ、パートナーに対していらだちを感じてしまったり、

相手に対して幻想を頂き、勝手に幻滅してしまうこともあるのでしょう。

 

大切なのは、セックス云々よりも相手を理解する心と相手への配慮。

相手にいらだちを感じている自分に気づいたら、心に余裕がなくなっているなと

自身に目を向けてみるのも良いですね。

 

疲れている自分をいたわったり、気分転換に散歩に出かけたり。

そうすることで、相手も同じように疲れていることに想いを馳せ、

相手をいたわったり、相手に対して優しい気持ちを抱けることでしょう。

 

幸せな家庭を築いていくために、『共働き』という選択をしたはず。

ぜひ、まっとうしていただきたいなと願います。